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2010-07-06

1、SSRI(うつ病薬)使用時の副作用について

 副作用として、特に注意したいのは、パロキセチンという薬です。この薬は独特の作用を持ち、その分多少変わった副作用を起こしやすい特徴があります。幾つかご紹介すると、第一に中断症候群、第二にアクチベーション症候群(過活動・衝動性増加症候群)、第三に他剤との併用で血中濃度の異常を見ることがある点です。まず初めの中断症候群ですが、この薬を少なくとも一ヶ月以上使用後、突然投与中止したり、あるいは急な減量をしたりすると、中断した後1~10日以内に次のような症状が現れます。1)浮動性めまい、頭部のフラフラ感、回転性めまいあるいは失神しそうな感じ2)悪心または嘔吐3)頭痛4)視覚障害5)不安6)ショック様しびれ感7)振戦8)発汗9)不眠症10)易刺激性11)不安定歩行12)下痢、これらの症状は幾つか組み合わされた形で出現することが多いようです。大体は急な中断によって起こります。これらの症状を自覚したときにはすぐに主治医に連絡してください。また第二のアクチベーション症候群とは、この薬を投与している最中に、1)中枢刺激症状(不眠・神経過敏・不安・多動・易刺激性・脱抑制・誇大性・自殺傾向・躁状態)2)刺激と抑制の混合状態(自殺や暴力のリスクが高い)3)自己あるいは他者に対する強迫的な攻撃性4)アカシジア(靜座不能)等の、要するにイライラしたり、激しく興奮したりする症状が出る場合があります。この場合には、薬剤の減量あるいは終了により、これらの症状が改善することから、判明致します。このアクチベーション症候群は特に18歳未満の小児に出やすいと言われておりましたが、最近では29歳以下の成人でも出やすいことがわかりまして、投与には十分な注意が必要であると言われております。また、第三の他剤との併用ですが、パロキセチンという薬は、肝臓での代謝酵素を阻害するために、他の薬と併用すると、他の薬の血中濃度が異常になるという困った性質があります。併用禁忌な薬として、チオリダジン・MAO阻害剤など。併用注意薬剤はリチウム・キニジン・シメチジン・フェノチアジン系抗精神病薬・リスペリドン・三環形抗うつ薬・ワルファリン・飲酒・フェノバルビタールなどが挙げられます。医師はこれらの副作用につき十分な注意をして投与して下さい。また患者さんは呉々も独断での中止はしないで下さい。

2010年07月06日
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