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2010-08-02

8.パニック障害の本質について、その1.

 不安障害の中の、一つの疾患をパニック障害と呼びます。パニック障害とは、あるとき急に、予期せぬパニック発作を起こして、それ以来、この不安を感じた場所に出向くことや、不安が起こるのではないかと考えただけで、パニック症状が出現する場合をパニック障害とよんでおります。普通の人なら恐いと思わない状況で、急に不安や恐怖、不快感を強く感じる発作をパニック発作とよびます。この発作の時には以下に挙げた幾つかの症状が同時に起こります。息切れ感または息苦しさ・動悸・めまい感・ふらつき感・胸部圧迫感・窒息する感じ・気が遠くなる感じ・発汗・身震い・冷汗・現実感消失(周囲が現実でない感じ)・口の渇き・吐き気・腹部の不快感・足ががくがくする・目がぼやける・筋肉の緊張・考えがまとまらない・死ぬのではないか気が狂うのではないかという恐怖感など。パニック発作を経験した人はその原因を探そうとしますが、90%の人はなぜそれが起こったのか理由が分かりません。ストレスと不安、そして過呼吸こそがパニック発作の本当の原因ですが、当人にとってはそれが原因とは見なされません。というのはストレスも不安も過呼吸も徐々に発生するものなので、当人はしばしばそれに気づいていないのです。この症状を持つ患者さんのうち、広場恐怖を合併する30%の人は最初に発作を起こしてから一週間以内に回避行動を取ると言われております。この回避行動とはパニック発作を経験した場所や状況を避ける傾向をいいます。しかもこの回避は徐久に広がる場合もあります。これは条件付けといわれるもので、パニック発作と発作の時の状況は同時に起こっており、これを条件付けで結びつけてしまうからです。発作の記憶がそのときの状況の記憶と関連づけられるのです。状況が発作を引き起こしたという信念を生み出して、この信念が特定の状況への恐怖と回避を引き起こすのです。パニック発作を経験した人が特定の状況を回避するもう一つの理由は、その状況で自分がパニックをコントロ-ルすることが出来ないと感じるためです。コントロ-ルすることが出来ないので、ますますパニック発作が起こったらどうしようかという心配が出てくるのです。

2010年08月02日
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