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2015-09-01

80.ジェネリック薬品の品質について

  ジェネリック薬品(後発薬品)は、原薬が持つ特性(起源、発見の経緯、物理化学的性質、急性毒性などの毒性資料、薬理作用、吸収・分布などの体内に入った後の挙動)は、先発医薬品の申請時に確認済みとして、詳しい審査はされていない。医療用医薬品添付文書の、先発品と後発品の異なる可能性のある項目について述べる。
1.組成・性状について
添加物、製剤の識別(例:錠剤では直径、厚さ、重量などの形状、色、識別コードなど)が記載されているが、後発薬品は特許などの関係もあり、必ずしも先発品の添加物と同一とは限らない。添加物による過敏症も知られており、処方切り替えの場合には注意が必要となる。
2.効能・効果について
後発品は先発品と、同じ有効成分、同じ効能・効果を持つ医薬品であると定義されるが、実は同じ効能・効果を持つとは限らない場合もある。先発品に一部効能・効果の追加された場合、医療用途特許により保護されている場合など、後発品の効能・効果は異なる。
3.副作用について
先発品は承認に際して、治験データおよび再審査による有効性・安全性のデータが得られているのに対して、後発品は臨床試験は実施されておらず、よって、副作用の発現頻度の情報はない。頻度不明である。
4.生物学的同等性試験
先発品と後発品で、異なる消化管内での崩壊・消化液への溶解について、吸収パターンを見ることで、有効成分の吸収・分布・代謝・排泄を確認する試験である。実生産ロットの1/10以上で製造された試験製剤を使い、原則健常成人を対象としたクロスオーバー法により、得られたデータの解析をする。AUC(血中濃度-時間曲線下面積)およびCmax(最高血中濃度)を比較して判定する。生物学的同等性の許容範囲は、AUCおよびCmaxともに平均値の80~120% に入ることが同等性の基準としている。
しかし、同じ有効成分の後発品でも、被験者の例数、測定対象物質、血中濃度測定方法など異なる場合があり、AUC,Cmaxなどのパラメーターは異なり、後発薬品間での評価は適切ではない。また、薬物動態(代謝・排泄・腎機能障害時や肝機能障害時の血中濃度・血漿タンパク結合率・乳汁移行など)については、後発メーカーは検討していない。
それ以外にも、薬理効果、臨床成績などの項目に付き後発品メーカーは自ら検証することはない。以上、これらの情報から言えることは、「著しい差」がなければ、後発品は先発品と同等と判断され、市場に出る。後発品は製品開発、臨床試験をかなり割愛することにより、薬剤費を安く抑えているわけであるが、その安全性・薬効については確認されていない現状にある。

-後藤伸之「後発品薬品における品質に関する情報の特性」臨床精神薬理                     vol.18.No.7.2015より、抜粋引用・一部追加-

2015年09月01日
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