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2020-08-03

139.新型コロナウィルス感染症について

未知のウィルスが今、世界中に蔓延している。最も大切な心構えは何かという話を、専門家である岩田健太郎先生の著書を参考にまとめてみました。以下はその話の一部です。
新型コロナウィルスから身を守るために一番大切なものは、情報・知識・事実の三点が大切。何故ならこのウィルスを過去に経験した人はいないから。では自分で判断するために、必要な情報や知識とは何か?それは感染症の原則を押さえること。「微生物と感染症は異なる」、「感染と病気は別」、「感染経路を遮断することが大切」ということである。
まず、ウィルスとは何か?「ほかの生物の細胞内に入らないと生きていけない微生物」と定義する。細菌とウィルスの違いは何か?これもウィルスは「抗生剤が効かない」もので、細菌は「抗生剤で殺せるもの」ととらえていただく。新型コロナウィルスであるが、何が新型か?従来知られているコロナウィルスは4種類あって、普通の風邪の原因となる。くしゃみ・鼻水・鼻づまり、微熱が出たりという一般的な風邪症状で自然に治る。しかし、2002年に新しいコロナウィルスが出現。これが後に「SARS」(重傷急性呼吸器症候群)と呼ばれた病気の原因ウィルスである。このSARSウィルスは従来のコロナウィルスと違い、「首より下」に位置している肺の病気を起こした。次いで2012年「MERS」(中東呼吸器症候群)がはやり、これはSARSに輪をかけて致死率が高かった。そして、今回七番目のコロナウィルスとして、COVID-19が出現した。このコロナウィルスは何が違うのか?実は一般的な風邪と症状だけでは区別できない。多くの人は感染しても全く症状が出ないままに終わってしまうし、症状が出てものどの痛みとか、咳が出る、微熱が出る位の軽いもので、一週間程度続いて、8割の人はそのまま治ってしまう。残り2割の人が重症化する。
COVID-19の検査について、PCR法という検査方法がある。この検査の感度は6~7割程度。感度というのは、病気の人100名を集めて、何回PCRが陽性になるかということ。だからPCRが陰性でも3割以上の人はコロナウィルス感染を見逃していることになる。ここでPCR法について説明すると、ウィルス遺伝子を拾ってきて、これをどんどん増やして、目に見えるようにして、「いたぞ」と見つける方法である。つまりPCR法では偽陰性、つまりウィルスはいるが検査で見つからないことがしばしば起こる。PCR陰性といってもウィルスがいないという証明にはならず、しかしPCR陽性の場合にはウィルスがいるという証明になる。ここでもう一つ問題ですが、実は「正しい診断」ではなく「正しい判断」が大切になるということ。PCR検査は偽陰性の問題があり診断の根拠にはならない。陽性の場合には新型コロナウィルスがいることは証明できるが、陰性の場合にも疑いは残る。そこで幾つかの症状や検査を組み合わせて、仮にPCRが陰性でも疑いのある人にはそれなりに注意して対応する必要がある。
次に大切なことは、感染経路を押さえること。
メインの感染経路は二つ。一つは飛沫感染、これはくしゃみとか、咳することで、水分がしぶきとなり広がること。大体2メートル位といわれている。これを防ぐのは、マスクをして、極力しぶきを飛ばさぬこと。
次いで接触感染、飛沫が落ちてそこに含まれるウィルスがテーブル、電話、パソコンキーボードのような人が触れる所に付着して、他の人がそれに触れて感染を起こす。これを防ぐには手指を清潔にし続けておくこと。この二点がポイント。
もう一つ、免疫力について。よく免疫力アップという話が出るが、これは大体インチキと思って良い。ステロイドや免疫抑制剤のように免疫力を下げる候補はたくさんあるが、あげる方法はない。免疫力とは病原体に対抗する力、つまり生体防御反応の強さのこと。逆に免疫力が強まると害になる。アトピー性皮膚炎・花粉症・関節リウマチなどの症状は「自己免疫性疾患」に分類されるが、いずれも免役力が強すぎて起きてしまう弊害である。つまり免役とはバランスが大切であるということ。インチキではなく免疫力を上げる方法は、一つだけある。それはワクチン。ワクチンは特定の病原体に対する免役力を高めて防御するものである。免疫力をメンテナンスする、正常な状態に維持する方法としては、休息・睡眠・適度な運動、そして食事・栄養のバランスをとること。食事について、高価なサプリメントなど必要なく、普通に野菜や果物などの食品を食べること。要は普通にすることが一番である。
マスクはいつ役に立つのか。人が咳をしたときに大切なのはマスクである。逆に言うと、誤解が多いのだが、感染を起こしていない人がマスクをするのは意味がない。つまり、症状のない人が飛沫に対してマスクをつけるのは全く無意味である。また、防御のためにマスクをつけることも無意味である。何故なら、N95マスクのように密閉性が高いマスク以外はウィルスは簡単にマスクを通り抜けるから。
ちょっと整理すると、
一番大切なことは、手である。手指消毒をすること、これで自分が感染するリスクを確実に減らすことが出来る。
そして、自分に風邪症状が出たら、とにかく家にいること。外出しないこと。人に会わないこと。そして、症状がひどくなってきたら、病院に行く。ただし行く前に電話で「行きますよ」と連絡してから診てもらうこと。このときに必要なのがマスクである。
「 症状がない」ということは感染させるリスクもほとんどないということ。知らぬ間にかかっているかもしれないから、リスクはゼロではないが、ゼロリスクを求めるのは非現実的である。我々は求めるべきは「より低いリスク」であり、「ゼロリスク」ではない。
-岩田健太郎「新型コロナウィルスの真実」より抜粋引用-

2020年08月03日
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