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2021-04-02

147.カロリーゼロにだまされるな。インスリン、味覚、依存性に注意。

今、我々の周りには、「カロリーゼロ」の飲料や食品があふれている。しかし、これらには甘みが無いわけではない。本当に摂取カロリーがゼロなのか、不思議に思う人も多いのではないでしょうか。ある「ゼロカロリーゼリー」の栄養成分を見ると、100g当たり、熱量0Kcal、タンパク質0g、脂質0g、しかし、炭水化物7.6g、ナトリウム31mgと出ている。ゼロカロリーは、栄養表示基準によるものです、という注がついている。食品表示では、100g当たりの摂取カロリーが5mg以下の物はゼロカロリー、ノンカロリー、レスカロリー、カロリーなし、カロリーフリーという表示が認められているので、その多くはゼロではない。でも、カロリーゼロなのに、しっかり味がするのはなぜか?これは人工甘味料が含まれているのです。また糖質ゼロも安心できない。飲料には100ml当たりの糖類が0.5g未満(食品は100g当たり0.5g)なら、糖質ゼロと表示できるのだ。カロリーゼロ飲料が問題なのは、含まれている人工甘味料に、空腹感が増して食べ過ぎたり、甘み中毒になることで、結局肥満となる、という副作用があることがわかっている。カロリーゼロ飲料を毎日飲むようになって、逆に太ってしまった、しかもそれ以外にも、心や身体に変化が起きたという事例が多く確認されている。人工甘味料の作用で太るということは、複数の調査研究でも認められている。毎日ダイエットコーラを飲んだ人の36%に、メタボリック症候群の合併リスク、67%にⅡ型糖尿病のリスクがあることがわかった(NettletonJA.ら、テキサス大学)。また、ダイエットソーダを一週間に500ml飲んだ人たちは、カロリーのある糖類使用の飲み物を同量飲んだ人たちよりも、糖尿病リスクが15%も高いことも報告されている(Fagherazzi.Gら、Am J Clin.Nutr.)。ラットの実験では、人工甘味料が食欲を増進させること、太りやすい体質になることが明らかにされている。これは、1)ホルモンに悪さをすること、2)味覚を鈍化させること、3)依存性がある、という3点の原因が考えられる。
1)ホルモンへの作用について:人工甘味料は肥満ホルモンともいわれるインスリンやインスリン分泌を促すインクレチン等に影響する。インスリンは血液中の血糖値が上がると、膵臓から分泌され、血中から余分なブドウ糖を取り除くように働く。欧米人と日本人はインスリン分泌能力がまるで違う。欧米人は大量のインスリン分泌能力があって、余ったブドウ糖をどんどん脂肪細胞に変化して蓄積できる。しばらくその状態が続くと超肥満体になるが、インスリン分泌されているために糖尿病になりにくい。ところが、日本人の場合インスリン分泌能力は欧米人の約半分程度しかないので、肥満ではなくても糖尿病になってしまう。人工甘味料(アセスルファムカリウム)をラットに与えると、インスリン分泌が増えることがわかった。ヒトでもスクラロースという人工甘味料をのむと、水を飲んだときより血糖値のピークが高くなることが判明している。この状態が続くとインスリン分泌能力が疲弊して、Ⅱ型糖尿病へと進行する危険がある。
2)味覚を狂わせる:甘みの強い人工甘味料に慣れてくると、甘みに対する味覚が鈍ってくる。味のセンサーは舌の表面にある細胞で、刺激に慣れやすく鈍くなってしまう。
3)依存性がある:人工甘味料の甘さが、脳内報酬系やドーパミンなどの神経伝達物質に影響を与えて、依存症や中毒を起こすこともわかってきた。人工甘味料は麻薬や覚醒剤、アルコールと全く同じ作用で依存症を起こすことが判明している。また、人工甘味料(アスパルテーム)にはその代謝産物が、セロトニンやドーパミンという神経伝達物質の原料となるチロシンやトリプトファンを脳への輸送することを妨げることがわかっている。つまり、チロシンやトリプトファンが不足するとセロトニンやドーパミンレベルの低下を来して、うつ症状や不眠、恐怖感などの症状が出ることがある。気分障害やうつ病の既往のある人はアスパルテームの使用を控える方が良いといえる。
さらに、3000名以上の女性を11年間追跡調査したところ、人工甘味料使用のソーダを一日2缶以上飲んだ女性は、飲まない女性と比べて、腎臓機能が30%も低下していたことが判明している(Lin J.ら、ハーバード大学)。さらに人工甘味料使用のソーダを毎日飲んだヒトは、飲まないヒトと比べて、脳卒中や心筋梗塞などの血管系疾患を発症するリスクが43%も高いことがわかった(GardenerH.ら、コロンビア大学)。
人工甘味料は、体重増加や肥満を防ぐための健康的な代替品として愛用されているにもかかわらず、長期的にはどうやら健康に悪い影響を与えるようである。
-大西睦子著「カロリーゼロにだまされるな」より引用した-

2021年04月02日
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