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2010-08-09

9、パニック障害の本質について、その2

 過呼吸になるとどうして色々な症状が出てくるのか。沢山呼吸するから体の細胞に沢山酸素が巡ってむしろ変な症状は消えていくと考えるのが普通です。体内では酸素の運び屋は赤血球の中のヘモグロビンです。酸素を体の隅々まで運ぶのですが、代わりに隅々に溜まった二酸化炭素を受け取って肺へ運びます。この場合体の隅々で酸素を渡す代わりに二酸化炭素を受け取れないとしたらどうでしょうか。過呼吸の時には、末梢の二酸化炭素が少なくなっているために、酸素が渡せず、酸素欠乏状態になります。体の血管は一部が収縮してしまったり、そのためにより一層酸素を運びにくくなってしまいます。皮肉なことですが過呼吸状態では酸素は沢山体の中に取り込んでいるにもかかわらず、脳や末梢へ運ばれる酸素は少なくなります。このために次のような症状が出現します。-息苦しさ・ふらつく感じ・めまい・周囲のものが非現実的に感じる・困惑・心拍数の増加・手足や顔がピリピリする・筋肉がこわばる・手のひらに汗をかく・口が渇く-など。過呼吸により運ばれる酸素が減少しても、その程度は軽度のものです。こういう症状が出ても本質的には体にとって全く害はないことは覚えておいてください。過呼吸の時に生じる最も不快な感覚の一つは「十分な空気を呼吸することが出来ない」という感覚です。そのためにもっと強く、もっと速く呼吸するようになりますが、これは間違いで、症状が悪化するだけです。過呼吸が続くとさらに次のような症状が出現します。-回転性めまい・吐き気・呼吸が制限される感覚・胸を刺すような痛み、圧迫されるような痛み、胸が締め付けられる感じ・筋肉の麻痺・恐怖感の増強・何か恐ろしいこと、例えば心臓発作や脳出血が起こるのではないか・死ぬのではないかと考えてしまいます。過呼吸では必要以上のエネルギ-を使うので以下のような症状も出ます。-ほてり・発汗・疲労感・筋肉の疲労、特に胸部-など。

-不安障害の認知行動療法(1)、パニック障害と広場恐怖より引用-

2010年08月09日
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