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2010-07-13

5、メンタル疾患と発病因子について

 メンタルな病気は、遺伝するか?という質問を時々受けます。質問者の念頭には、統合失調症や、そううつ病、不安障害(パニック障害)や、認知症などの疾患をイメージして居られるようです。今回は各疾患の発病因子に関する最新の情報のまとめを書いてみます。まずは統合失調症について。全人口の1%の有病率(100人に1人)と言われる。ただし統合失調症の両親や兄弟姉妹を持つ人の発病リスクは10%(10人に1人)、一卵性双生児の研究では、一人が発症すると、残りの一人の発病率は50%(2人に1人)です。発症リスクとして、1)母体が妊娠中(特に妊娠13~24週)にインフルエンザ罹患、2)分娩中の低酸素状態、3)出生時の低体重、4)母体と胎児の血液型不適合などの事象が挙げられる。さて、うつ病ですが、最も新しい研究では、一般的な有病率として、日本では6~7%(100人に6~7人)の有病率である。また、性別では女性が男性の2倍の有病率と言われる。発病リスクとして、1)身体疾患を持つ人-ガン、心疾患、アルツハイマー病など、2)家族にうつ病患者のいる人、3)愛する人の死などのライフイベントが起こった人、4)若いときに抑うつ気分などがある期間持続した人、5)長期間の服薬している人-降圧薬、睡眠薬、ピルの服用など、6)人格的な問題-自己評価の低い人、依存性の高い人、悲観的な見方の強い人など、7)アルコール、ニコチン、薬物乱用傾向のある人、8)最近出産した人、9)社会経済的に、低所得者の人、などがある。不安障害の発病因子とは何か?1)幼小児期の不幸な出来事:子供時代の受け入れがたい、辛い時期または逆境の存在-悲しいトラウマになっている事件など、2)病気:ガンなどの重症な病気や将来に対する不安、また過度で抗しがたい酷い処遇や経済的な不安定さ、3)ストレス:過度に不安感を引きおこすストレス状態にあるとき-病気や仕事上の失敗と失業など、4)人格:満たされない心理的欲求を持つような人格傾向のある人-不十分で不安定な近親者との人間関係など、5)遺伝:家系的な素因の存在などが挙げられております。アルツハイマー病については、1)65歳以上の人、2)一親等内にアルツハイマー病の患者のいる人は、多少かかりやすい、3)高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の人、4)女性、5)教育レベル等の要因が挙げられております。

2010年07月13日
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