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2010-08-23

11、自己愛型パ-ソナリティ-障害について

 正常な自己愛とは何を言うのでしょうか。本来皆自分自身がかわいい為に、自分を取り巻く世界がすべて自分の思い通りになればよいと考えている部分があります。このために我がままを言ったり、見栄を張ったり、背伸びをして偉そうなことを言ったりしますが、現実の社会や世間ではほとんど思い通りには行かないことが多くて、次第に自分自身の限界を知ることとなり、そうやって社会や世間と折り合いを付けて自己愛の修正を受けながら社会的な成長をしてゆきます。つまり等身大の自己が出来上がるのです。しかしこの自己愛が正常に発達しない人は、このバランスが崩れてしまい、理想の自分と現実の自分が2極分化してしまいます。理想と現実の間を激しく揺れ動く為に、数々の症状が引き起こされてくるのです。 理想の自己を示す特徴は万能感・努力しないでも結果が出てくると思いこむ・仰ぎ見るような賞賛を求める・自分が特別な存在である事を周囲に求める・外的価値しか価値をおけない等です。一方現実の自己については無能で取り柄がない・何の価値もない最低の自分・無力・空虚・絶望などが主な特徴です。 これ等から導かれることは地道な努力が出来ない・結果主義・全か無かの発想・平凡や普通や並は受け入れられない・特別であること、他と隔離した存在であることを求める・他者は敵か家族か使用人の3種類しかいないのです。こうした特徴のある人は順調なときには人一倍頑張るけれど、思い通りにならぬと、停止してしまい、挫折に弱いのです。臆病で嘘つき、自己中心的な傾向があり、劣等感と優越感が同居しております。 具体的な症状としては抑うつや、衝動的な激しい怒り・引きこもり・強迫的な傾向が出現します。関連する障害として、摂食障害・うつ症状・強迫性障害・社会的引きこもりなどが挙げられます。

 - 市橋秀夫先生のご講演より引用-

2010年08月23日
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