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2018-12-30

120.社会保障切り捨て日本への処方箋、絶対的医師不足について、その2。

今年で平成が終わります。年初早々ですが、社会保障財源獲得は可能かというテーマで述べます。財政赤字が声高に叫ばれて、生活保護のさらなる引き下げを含めて、国民の生命に直結する社会保障予算の削減が次々に断行さています。2017年の政府予算案で、社会保障費を今後5年間で3.4兆円削減し、医療・介護・年金・生活保護等々あらゆる年代に負担増とサービスの削減を求める一方、過去最高の軍事費・大型公共事業・東京五輪・リニア新幹線などには莫大な予算が投入されました。日本は社会保障や教育等の公的支出を先進国最低に抑制(世界の教育への公的支出OECD平均5.5%、デンマーク8.6%、フランス5.5%、アメリカ5.4%、ドイツ5.0%、韓国5.1%に比べ、日本3.6%)する一方、莫大な公共事業投資2013年度3.6兆円、2019年度防衛予算5.2兆円と桁違いの予算を充てております。日本の年金・保健医療費・出産育児・高齢障害者・障害現金給付・雇用政策などの社会保障給付水準はスウェーデンやドイツの半分以下、何事も自己責任の国アメリカより少ないのです。(対GDP比、スウェーデン32.0%、ドイツ28.2%、アメリカ14.5%に対して、日本13.1%、2004年)日本人の国民負担率(租税・社会負担率)は表面上スウェーデン51.6%に対して26.8%と低いものの、社会保障給付金や公財政支出教育費等を加味する「再修正国民純負担率」を算出すると、高福祉高負担社会のスウェーデン11.9%より高い14.0%となります。つまり日本は高福祉高負担社会のスウェーデンより国民負担率が高いのです。「国民負担率が低いから社会保障充実は困難、充実を望むなら消費増税」という財務省の話は、全くの詭弁です。実質は、「日本は社会保障給付費は米国以下で、実質国民負担率はすでに福祉国家より高い」という現実があります。また、見直されたはずの大型公共事業が様々な形で息を吹き返しております。
1.東京オリンピック:当初7340億円だった開催経費は1兆8000億円と2.25倍に膨らむ
2.リニア新幹線:JR東海が自前で建設を進めるはずが、国が財政投融資を利用して、JR東海に3兆円投資決定、2045年の開業予定を2037年に早める。その後大手ゼネコンの談合が判明。なぜリニア新幹線建設を急いだのか、follow the moneyでその目的は明白。
3.安部-麻生道路:2008年の大型公共事業を2016年12月見直しで凍結された第3の関門道路計画の復活の兆しが見え始めている。下関と北九州市がそれぞれ安部、麻生の選挙区であり、「安部-麻生道路」と呼ばれており、費用は2000億円を予定。費用対効果が疑問視されている。
4.復活した天下り:2008年当時公益法人は24317であったが、2013年11月末には9204に減少。しかし2010年733名だった国家公務員の再就職率は、2016年には1668名と倍増している(2017年国会審議)。2015年には、防衛省・自衛隊と企業の癒着も明らかになっている。防衛省・自衛隊から三菱重工など10社への天下り64名、契約7929億円。これら10社から自民党への献金1億5070万円(防衛省提出資料と政治資金収支報告書より、井上事務所調べ)。なぜ政府が武器輸出三原則を廃止して、防衛装備移転三原則を定め、なぜ国民の反対を無視して安保関連法案を強行採決したか、そしてなぜ北朝鮮ミサイル危機をJアラートで煽って軍事費が毎年増大の一途なのか、さらに生活保護費は引き下げて、なぜ廃止した国会議員年金を復活させるのか、ここでもfollow the moneyでみると、その目的が見えてきます。
本田宏著「社会保障切り捨て日本への処方箋」-より抜粋引用

2018年12月30日
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